金田一京助

金田一京助　金田一久米之助の長男として盛岡に生まれる。盛岡中学時代には花明と号して短歌を詠み、与謝野鉄幹主催の『明星』の同人となる。石川啄木とは盛岡高等小学校（現下橋中学校）以来の友人であり、啄木の死まで親交が続いた。東京帝国大学時代、師の上田万年（かずとし）に“アイヌは日本にしか住んでいないのだから、アイヌ語研究は世界に対する日本の学者の責任なのだ。それをやる人がいないということは…”と言われ、アイヌ語に興味を持つ。のちに北海道へ行き現地を調査、アイヌ民族に伝わる叙事詩ユーカラの存在に注目する。卒業後もアイヌの人々と交流しながら研究を続け、國學院大学教授、東京帝国大学教授を歴任、埋もれていたアイヌ叙事詩の存在を明らかにした。戦後には国語審議会委員として現代かなづかい制定に貢献、1954（昭和29）年には岩手県出身者としては2人目となる文化勲章を受章した。また多くの辞書や教科書の編・監修者としても知られている。

【1882（明治15）年5月5日～1971（昭和46）年11月14日】

生涯

1882年（明治15）	0歳	5月5日盛岡市四ツ家町（現本町通二丁目）に生まれる。
1888年（明治21）	5歳	盛岡第一尋常小学校（現仁王小学校）に入学。
1892年（明治25）	9歳	盛岡高等小学校（現下橋中学校）に入学。
1896年（明治29）	13歳	岩手県尋常中学校（のちの盛岡中学校、現盛岡第一高等学校）に入学。
1901年（明治34）	19歳	仙台の第二高等学校（現東北大学）に入学。
1904年（明治37）	22歳	東京帝国大学（現東京大学）文科大学に入学。
1906年（明治39）	24歳	アイヌ語調査のために初めて北海道に渡る。
1907年（明治40）	25歳	東大卒業後、樺太にわたり樺太アイヌ語を調べる。
1908年（明治41）	26歳	三省堂に勤める。また國學院大学の講師となる。石川啄木が上京、京助の世話になる。
1912年（大正元）	30歳	上野公園の拓殖博覧会にて樺太から来た諸民族に出会う。このころから、北海道を訪れたりアイヌ人の人たちを自宅に泊めたりしてユーカラ（アイヌ民族の叙事詩）の筆録、アイヌ語の研究等を進める。 ※石川啄木死去。
1913年（大正2）	31歳	東京帝国大学文科大学講師となる。
1915年（大正4）	33歳	北海道庁及び樺太庁より命じられて、北海道、樺太を調査。ユーカラ、ハウキ（樺太アイヌ語でユーカラのこと）を筆録する。
1922年（大正11）	40歳	國學院大学教授となる。
1932年（昭和7）	50歳	「アイヌ叙事詩ユーカラの研究」により、学士院恩賜（おんし）賞を受賞。
1935年（昭和10）	52歳	論文「ユーカラ語法・特にその動詞に就いて」により、文学博士となる。
1941年（昭和16）	59歳	東京帝国大学教授となる。（1943年定年退職）
1952年（昭和27）	69歳	国語審議会委員となる。
1954年（昭和29）	72歳	文化勲章受章。
1955年（昭和30）	72歳	ＮＨＫ放送文化賞受賞。
1957年（昭和32）	74歳	宮中歌会始に参列。
1959年（昭和34）	76歳	盛岡市名誉市民第一号となる。
1967年（昭和42）	85歳	日本語学会会長に就任。
1971年（昭和46）	89歳	11月14日死去。